Webライティング・53
売れるキャッチコピー ⑪
認知的不協和でバランスを崩そう
脳は常にバランスのいい状態を保とうとしています。 認知的不協和は、そんな脳のバランスを崩すことによって、興味、関心を引き付ける方法です。
矛盾を嫌い、矛盾を正そうとする脳の性格
認知的不協和は、アメリカの心理学者、レオン・フェスティンガーによって提唱されました。 脳のなかに矛盾する2つ以上の認知(考え方)があると、心理的な不快感・緊張感を感じます。 バランスを崩した脳はバランスを取り戻そうとして、何とか納得できる理由、言い訳、倫理をみつけようとするというものです。
例えば、次の2つの文を読んでください。
- やせるためには運動と食事制限が必要
- お腹いっぱい食べて、ゴロゴロしていてもマイナス5キロ
ダイエットの方法として「逆のこと」を言っている2つの文。 矛盾や違和感を覚える人が多いのでははいでしょうか?
脳はバランスを崩した状態ではいられなくなり、違和感の正体をしりたくて、その先を調べようとします。 そこにキャッチコピー作成のヒントがあります。
❢ イソップ物語の「すっぱい葡萄」
イソップ物語「すっぱい葡萄」は、認知的不協和の例でよく取り上げられています。
キツネはある日、おいしそうなブドウの木を見つけます。 ブドウを食べたくて何度もジャンプを繰り返し、手を伸ばすキツネ。 結局、手が届くことはなく、キツネは「おいしいブドウが食べたい」でも「食べられない」という現状に、認知的不協和、矛盾、ストレスを感じます。
この脳のバランスの崩れを元に戻すために、キツネは「きっと、あのブドウはすっぱくて、おいしくない」と自分に言い聞かせて、バランスを取り戻そうとします。
バランスを崩したままではいられない、脳の不安定さがわかります。
● イソップ物語から学ぶ認知的不協和
認知的不協和のキャッチコピーの例
2015年に大ヒットした映画「ビリギャル」のキャッチコピーには「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」と書いてあります。 認知的不協和のオンパレードです。 「学年ビリ」の「ギャル」が「慶応大学に合格」だけでも、一般常識から考えると大きな矛盾があります。 さらに「1年で偏差値を40上げる」「現役合格」まで加わっています。
このギャップに、認知的不協和を感じる人が多いと思います。
脳はバランスを崩し、さのバランスを取り戻そうとします。 このようなキャッチコピーを、認知的不協和を利用したキャッチコピーと呼びます。 このキャッチコピーに引き付けられて映画館に足を運んだ人も、多かったはずです。
❢ 脳のバランスを崩し、キャッチコピーを作ろう
私たちは生活のなかで、当たり前と思っている「常識」がたくさんあります。 常識に従って生きているので、その常識に対して少しでも違和感のあることを書くことによって、引き付ける力の強いキャッチコピーを作ることができます。
認知的不協和を利用して脳のバランスを崩すキャッチコピーは成功法則50と似ていますが、王道否定は「常識を全否定する」のに対して、認知的不協和は「脳に違和感を与える、矛盾を作る、正論を崩す」と考えてください。
「◯◯◯なのに◯◯◯」を考えると、認知的不協和を利用したキャッチコピーが作りやすくなります。
例1 認知的不協和
はじめての起業、たった1年で年収1,000万
「初めての起業」でうまくいくのは難しいのに、「1年で年収1,000万ってすごい」と矛盾を作っています。 「どうやったらうまくいくんだろう?」と矛盾を解消したいお客様は、キャッチコピーをクリックして、その先のWebサイトに移動していきます。
例2 認知的不協和の例
医者と看護師がかかりやすい病気とは
医者や看護師は健康に詳しい職業なのに、「あらら、病気にかかっちゃうんだね」と違和感を与えています。 「どうしてそんなことになってしまったの?」と思ったお客様の興味、関心を引くことに成功しているキャッチコピーです。
例3 認知不協和の例
当店ではお買い物をしないでください
お店なのでお客様に買い物をしてもらいたいはずなのに、「『買い物をしないでください』ってどういうこと?」と感じます。 お客様は常識を崩されて、違和感を覚えてしまいます。
「当店ではお買い物をしないでください」といったキャッチコピーは、ネットショップ等でよく使われています。 例えば、明日からセールを行う場合に「当店ではお買い物をしないでください」というキャッチコピーを販促用メールマガジンやWebサイトの等に書いておくのです。 「え? ネットショップなのに買うなってどういうこと?」と矛盾を感じたお客様がWebサイトに訪問すると、「明日からセールです。明日になったらたくさんかってね」とセールの告知をするのです。
認知不協和のキャッチコピーを使うことによって、お客様にセールの告知ができるのと同時に、せっかく明日からセールなので「セールの前日に購入してしまうと、損しちゃいますよ」と教えてくれたネットショッピングに対して「良いお店、親切なお店」というイメージまでもってもらうことができるのです。
● 認知不協和のコピーを利用した集客
バランスを取りたいと思っている「脳」に
違和感を与えよう
脳に違和感を与え、お客様を「不安定な気持ち」にさせるのが、認知不協和のキャッチコピーです。 お客様が持っている「常識」を見つけ、その常識を崩すことを考えましょう。 「◯◯◯なのに◯◯◯」と考えると、認知的不協和を利用したキャッチコピーが作りやすくなります。
総括
- 矛盾を嫌い、矛盾を正そうとする脳の仕組みを知ろう
- 認知的不協和で、お客様の脳のバランスを崩そう
- 「◯◯◯なのに◯◯◯」と考えると認知的不協和を見つけやすい
引用「WEBライティング 売れる書き方の成功法則64」 ふくだたみこ
今日はここまでです。
本日のインスタグラム
最近、めっきり涼しくなりましたね、 植物達もラストスパートで成長しております。
季節は、あっという間に駆け巡って行き、やがて冬がやってまいります。
皆様も風邪を召しませんように。
デワデワ